○飯山市議会基本条例
令和2年9月29日条例第25号
飯山市議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の責務と活動原則(第3条―第7条)
第3章 議会と市民との関係(第8条・第9条)
第4章 議会と行政との関係(第10条―第13条)
第5章 議会運営(第14条―第17条)
第6章 議会事務局の体制整備(第18条)
第7章 災害時の対応(第19条)
第8章 議員の政治倫理(第20条)
第9章 補則(第21条・第22条)
附則
飯山市は昭和29年に市制を施行以来、多くの先人たちの努力により市政の発展を遂げてきた。しかしながら近年、急激な少子高齢化と人口減少に直面し、市民の求めや要求が複雑かつ変化の現実にある中、地方分権の進展により、地方自治体の自己責任及び自己決定の範囲が拡大され、議会の果たすべき責任や役割がますます大きくなっている。
このような中にあって、議会が市民の負託に応え、市民福祉の向上を図り、活力ある市政の発展を目指していくには、市民の意思を代表する議事機関であることをしっかり認識し、その責務を果たしていくことが求められている。
飯山市議会は、先例集という形で過去の経過、議会のあり方を諸先輩議員より受け継ぐとともに、常に先進的な事例を取り入れ、様々な議会改革に取り組んできたところであるが、これまでの改革に満足することなく、市民参加の推進及び情報公開を積極的に進め、市民に信頼される議会を目指し、議会の機能を更に充実するよう努めなければならない。
ここに、飯山市議会は、二元代表制のもとで、議会と議員のあり方を明確にするとともに、市民の信頼に応えるため、活力あふれる議会活動を実践していくことを決意し、議会と議員の活動の規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、市民に信頼され、活力ある議会とするために必要な基本理念を明確にし、議会及び議員の活動原則その他議会に関する基本的事項を定めることにより、議会が市民の信託に的確に応え、もって市民福祉の向上と、公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(条例の位置付け)
第2条 この条例は、飯山市議会の運営及び議会活動に関する最高規範であり、市議会及び議員は、誠実にこれを遵守し実践するものとする。
第2章 議会及び議員の責務と活動原則
(議会の責務と活動原則)
第3条 議会は、市民を代表する意思決定機関とし、二元代表制の一翼を担い、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市民本位の立場から公正かつ公平な行政執行が確保されるよう、市政の監視及び評価すること。
(2) 市政の課題については、市民の意見を的確に把握し、市民全体の利益となるよう、政策の決定及び形成に適切に反映できるよう努めること。
(3) 議会が保有する情報は、市民に積極的に公開し、市民に開かれた議会、分かりやすい議会運営を行い、市民の参画意欲が高まるように努めること。
(議員の責務及び活動原則)
第4条 議員は、議会を構成する一員として、次に掲げる原則に基づいて活動するものとする。
(1) 市民の多様な意見の把握に努め、市政に反映されるように、政策の立案及び提言を行うこと。
(2) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域代表の視点に止まらず、市民全体の奉仕者及び代表者としてふさわしい活動をすること。
(4) 議会における政策の決定等について、市民に対して説明責任を果たすこと。
(議員間討議の充実)
第5条 議会の議長(以下「議長」という。)並びに常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)の委員長(以下「委員長」という。)は、議会が言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由な討議を中心に運営し、合意形成に努めなければならない。
2 議員は、本会議及び委員会において、自らの意見や考えを丁寧に述べるとともに、他の議員の意見にも真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くさなければならない。
(議会改革の推進)
第6条 議会は、議会の信頼性を高めるため、改革に積極的に取り組むものとする。
2 議会は、前項の改革に取り組むため、必要に応じ議員で構成する検討のための組織を設置するものとする。
(会派)
第7条 議員は、議会活動を行うため、政策を中心とした同一の理念を有する2人以上の議員で構成した会派を結成することができる。
2 議員が会派を結成する場合は、書面で議長に届け出なければならない。会派を解散した場合も同様とする。
第3章 議会と市民との関係
(市民参加及び市民との連携)
第8条 議会は、市民の意思を議会に反映することができるよう、積極的に議会の活動に関する情報を公開するとともに、市民に対する説明責任を果たさなければならない。
2 議会は、請願及び陳情の審議においては、必要に応じて当該請願及び陳情した者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
3 議会は、議案に対する各議員の表決結果を公表しなければならない。
4 議会は、市民の意見を議会運営の改善、政策提言に反映させるため、意見交換会を毎年開催するものとする。
(情報公開及び議会広報の充実)
第9条 議会は、飯山市情報公開条例(平成11年飯山市条例第3号)に基づき、その有する情報を公開する。
2 議会は、インターネット、広報誌等の多様な媒体を用いて、情報の発信及び市民の意見の把握に努めるものとする。
第4章 議会と行政との関係
(市長等との関係の基本原則)
第10条 議会は、二元代表制に係る市長との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係を構築し、事務執行の監視及び評価を行うものとする。
2 議会審議における議会と市長等の関係は次に掲げるとおりとする。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、論点及び争点を明確にして行うものとする。
(2) 議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質問に対して論点及び争点を明確にするため、当該議員に対して反問することができる。
(議会審議における論点の形成)
第11条 議会は、市長が提案する政策等について、議会審議における論点及び争点を明確にし、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。
(1) 政策を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯と関係法令の関係
(3) 他の自治体の類似政策との比較検討の結果
(4) 市民参加の実施有無及び内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 計画の実施に係る財源措置
(7) 将来にわたる効果及び経費負担
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前項の規定に準じて、分かりやすい政策別又は事業別の説明を市長に求めることができる。
3 議会は、当初予算について、予算編成の方針及び内容等について、市長等から説明を求めることができる。
(議会の議決事件)
第12条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件は、議会の監視機能上の必要性と市長の政策執行上の必要性とを比較考量し、別に条例で定めるものとする。
(政策立案及び政策提言)
第13条 議会は、条例の制定、議案の修正、決議等を通じて、政策の立案及び政策提言を行うよう努めるものとする。
第5章 議会運営
(議会運営の原則)
第14条 議会は、議員相互の議論を尊重し、公正、公平かつ効率的な議会運営に努めなければならない。
2 議会は、議長又は副議長を選出するときは、その経過を明らかにしなければならない。
3 議長は、中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
(委員会運営の原則)
第15条 議会は、行政の課題に適切に対応するため委員会を設置し、それぞれの設置目的に応じた機能が十分に発揮されるよう運営されなければならない。
2 委員会は、所管事務の調査及び政策提言を積極的に実施し、その機能を十分に発揮しなければならない。
(議員定数)
第16条 議員定数は、多様な市民の意見を十分に反映でき、かつ、合議制の議事機関として活発な議論が可能となるよう、総合的な視点を踏まえ、別に条例で定めるものとする。
(議員報酬)
2 議員報酬は、行財政改革の視点だけでなく、市政における議員の職務及び職責を十分に考慮するとともに、多様な人材が議員として活動できる環境整備の観点も踏まえ、市政の現状及び課題並びに将来の展望を考慮して定めるものとする。
第6章 議会事務局の体制整備
(議会事務局の機能)
第18条 議会は、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実強化並びに組織体制の整備を図るよう努めるものとする。
2 議会事務局は、議長の統括する議会事務を遂行し、議会の政策立案活動、調査活動等を補佐する役割及び円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。
第7章 災害時の対応
(議会の災害対応)
第19条 議会は、災害が発生したときは、議会機能を的確に維持するため、迅速かつ適切に対応するものとする。
2 災害時の対応に関し必要な事項は、別に定める。
第8章 議員の政治倫理
(議員の政治倫理)
第20条 議員は、市民全体の代表者としてその倫理性を常に自覚し、良心と責任感を持って、議員の品位を保持し、識見を養うよう努めなければならない。
2 議員の遵守すべき政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。
第9章 補則
(他の条例等との関係)
第21条 この条例は、議会及び議員の活動原則等、議会の基本的事項を定める条例であり、議会に関する他の条例等を制定又は改廃する場合においては、この条例との整合を図るものとする。
(検証及び見直し)
第22条 議会は、市民の意見及び社会情勢の変化を常に勘案し、必要に応じて、この条例の目的が達成されているか検証を行うものとする。
2 議会は、前項の検証の結果、この条例及び関係規則等について、改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。