4 特 徴
飯山市のグリーンツーリズムの特徴は、四季折々の多彩な農村環境を演出する市全域を交流・体験エリアとし「標高差1,000mの自然・農林業体験」をテーマに取り組んでいる点であります。
市全域を鍋倉山(標高1,300m)から千曲川(標高300m)を
①鍋倉山やブナ林の「自然林エリア」(自然体験・環境学習)、
②国営開発農地や農家民宿街の「高原エリア」(農林業体験・宿泊)、
③千曲川周辺や市街地の「千曲川エリア」(寺めぐり等の文化・歴史・カヌー)
の3つのエリアに分けることができ、宿泊者が自由に選択し交流・体験ができます。
また、山間地では積雪3mを越す冬、雪解けとともに山々の緑が一斉に芽吹き、菜の花が咲き乱れる春から初夏、高原野菜を中心とした多彩な農産物の栽培・収穫の夏から秋と四季それぞれの魅力も楽しめます。
もう一つの特徴は体験メニューを提供するインストラクターです。
交流拠点施設の「森の家」では、「1年間は市内に居住すること」を条件に当時、インストラクターを募集したところ、全国から約50人の応募があり、その中から選ばれた20~30歳代の県外出身者がヤングスタッフとして体験メニューを提供しています。
体験メニューは多種多様であり、専門分野での多くのインストラクターが必要になるため、飯山市では市民に呼びかけ約180人の登録をしていただいております。
また、森の家では利用者に体験メニューを提供する他に、戸狩、信濃平の民宿にもインストラクターを派遣しており、飯山市のグリーンツーリズム全体の拠点施設として位置づけされております。
5 スローライフの流れにあわせた取り組み
交流体験からもっと飯山を好きになってもらい、移住・定住へ。豊かな自然に包まれた四季折々の“いいやま”の暮らしを体験してもらおうと、これまでの事業の発展型として平成15年に飯山市ふるさと回帰支援センターを立ち上げ、一時滞在・長期滞在の田舎暮らしの体験メニューを揃え、I・J・U(移住)ターン希望者や団塊の世代を中心に情報サービスやふるさと暮らしのお手伝いをしております。
主な体験講座として
百姓塾:1泊2日 5月~11月の7回の体験講座(農業に興味がある人・実践講座)
ふるさとへの出発点:20泊から100泊素泊+畑200㎡付(実際に住んでみる)
6 森林セラピー事業への取り組み
平成18年4月、市内の豊かな森林資源と良質なおもてなしで、癒しの時間を提供する「森林セラピー®基地」の1つとして、日本で初めて認定を受けました。 飯山市森林セラピー協議会が主体となり、遊歩道(セラピーロード)の整備や森林ヨガ、森林体験機会に恵まれない方を対象とした森林散策等、様々なプランを提供しています。
7 今後の課題
日本の原風景を誇る当市の美しい景観、農村、自然資源を保全し、本物の素材を提供する独自のスタイルを保ちつつ、グリーンツーリズムを単なる観光ではなく「交流」、「体験」とし、いっそうのリピーターを確保し、地域の活性化につなげることにあります。
グリーンツーリズム事業も開始から20年を経過し、体験農園、教室等の体験プログラムも充実し、地域の産業として確立されてきた反面、事業のマンネリ化も否めない状況にあります。
多種多様なニーズを的確に情報収集し、常に新鮮な情報を提供しつつ、各種体験など、この地域にしかできないブランド化も今後一層研究していかなければ、他地域との差別化は生まれないと感じています。
また、田舎暮らしの体験が注目されているなかで、飯山で暮らすメリット・デメリットを十分認識されたなかで、迎える地域の意識やその受け皿も十分に整えていく必要があります。
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