1 飯山市の概要
(1)立地・気象
飯山市は、北信濃あるいは奥信濃とも呼ばれ、長野市から北へ36km、新潟県との県境に位置しています。関田山脈、三国山脈に連なる山々に囲まれ、その中央を千曲川が南から北に流れています。市域は千曲川の沖積地を中心とした田園地帯と、中山間地帯とで構成されています。 気候は、冬は平地部で最深積雪平均が176cm、山間部では350cmを上回る日本有数の豪雪地であります。
(2)交通アクセス
平成27年3月14日に北陸新幹線飯山駅が開業し、首都圏から2時間弱でアクセスが可能となりました。また、車での移動は、上信越自動車道を利用し、首都圏~豊田飯山IC間の所要時間が3時間ほどとなっています。
(3)地域資源の魅力
ブナに象徴される豊かな山林、詩情豊かに飯山盆地をゆったり流れる千曲川、四季鮮やかな変化・彩りなど卓越した自然があり、美しい景観を醸し出してくれています。その豊かな自然を背景に古くから農業が営まれ、冬期間には雪を活用したスキー場の開発により農家民宿が発達しました。
伝統産業の手すき和紙の内山紙や飯山仏壇の技術も確実に受け継がれており、また市街地には多くの寺社仏閣が軒を連ね、島崎藤村が「破戒」の中で「信州の小京都」と名付けた城下町として、独特の文化と風情を今も残しています。
(4)農業の状況
農業は飯山市の基幹産業であり、全世帯数に対する農家率は約26%を占めています。
飯山市の農業産出額は、きのこ類が約40%を占めており、次いで米、野菜の順で、全国有数のアスパラガスの産地です。また、米は新潟県魚沼産のコシヒカリと同クラスの良質米作地帯であり、毎年開催される「米・食味分析鑑定コンクール・国際大会」において入賞者が続出しています。
2 現在に至るまでの経緯
飯山市の農家民宿は、きのこ栽培と同様に冬期間の副業として、民間のスキー場開発とともに昭和30年代前半に全国に先駆け始められました。
飯山市の観光入り込み客は平成5年をピークに186万人に達しましたが、その後スキー客の減少が大きな原因となり、現在では斑尾、戸狩の2つのスキー場が開設されている状態にとどまっています。
スキー客の落ち込みとともに、高齢化と後継者不足による過度期を迎え、農業とリンクしたグリーンシーズンの経営のあり方が模索され始めました。そこで、観光から交流へと転換し、地域資源を生かしたグリーンツーリズムの交流の拠点施設・体験施設の整備が急務となりました。
事業の推進組織として、平成6年に飯山市グリーンツーリズム推進協議会が発足し、市・JA・観光協会が中心となり、それぞれがもっている素材を生かし連携を取りながら事業を推進してきました。
農家民宿での首都圏の小・中・高校の環境教育の一環とした自然体験教室、セカンドスクール、農作業体験などをメニューにした修学旅行の受け入れを平成6年から取り組み、初年度の3校から平成17年には59校となり、令和5年現在では79校が自然体験教室に訪れています。
3 受け入れ体制の整備状況
スキー観光が盛んな飯山市は、もともとスキー客や夏休み子ども村、学生を中心とした合宿の受け入れなど、民宿を中心とした交流の素地がありました。現在でも市内には民宿を中心に約140軒の宿泊施設があります。 グリーンツーリズム事業としてのハード整備は、平成6年度から8年度まで3ヵ年をかけて整備しており、主な施設では平成6年にふれあい広場、平成8年に交流ターミナル(なべくら高原・森の家、北竜湖の館)、農林漁業体験実習館(トピアホール)があります。
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