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飯山駅前へのホテルの誘致について

飯山市議会9月定例会において、ホテル建設とホテル内に併設する 健康増進施設整備にかかる「債務負担行為の設定」の議案が可決されたことで、飯山駅前ホテル計画が一歩踏み出されました。

これまでの経過と内容について、 ご紹介します。

 

駅前の賑わい創出の拠点

 

駅前ホテル計画は、「飯山市第5次総合計画後期基本計画」の重点項目に位置付けられています。この計画の実現により、北陸新幹線飯山駅の半径20km圏域「信越自然郷」のハブ機能を活かし、交流人口や関係人口が増えることで、地域経済の活性化が期待されます。

圏域内をゆっくりと滞在していただく観光利用、「なちゅら」などの駅周辺施設での催事やビジネス利用、「飯山赤十字病院」と連携した市民の健康づくりの取り組みなど、立地条件に恵まれながらもこれまで実現できなかった「賑わい創出拠点」として、駅前ホテル計画の実現が必要となります。

 

これまでの経過

駅前へのホテル(宿泊施設)誘致については、北陸新幹線飯山駅開業以前から取り組んできました。

 

平成26年度 ・・・ 最初の募集により交渉事業者を選定 → 資材高騰等の理由により建設に至らず

平成28年度 ・・・ 再募集 → 募集期間の延長も行ったが、応募する事業者はなし

平成29年度 ・・・ 一事業者から提案あり → 交渉を続けたが契約には至らず

上記の3例を含め、これまで県内外のホテル事業者など約30事業者と交渉等を行った

  → 各事業者の経営方針や市場性などの理由から立地に至らず → ホテルの誘致は大きな課題

 

各事業者との交渉の中で、飯山駅前進出には「飯山市からの一定程度の支援」が共通条件であり、支援要望内容は事業者ごとにさまざまでした。

 

企業誘致と公民連携

今回は市から  ・ 客室は50室以上

          ・ ビジネス利用から観光利用まで十分に対応できる  などの条件を提示したうえで、

事業者から   ・ 「希望する支援内容」も含めた企画提案書を提出していただく

という形の公募プロポーザル方式により募集を行いました。

このことにより、「公」と「民」が連携して長年の課題を解決できるものと考えました。審査は外部有識者を中心とした審査委員会において行い、最優先交渉権者を決定したものです。

駅前ホテルの誘致は、これまでの市内工業団地等への企業誘致などと同様に、市が民間企業に補助金等で支援するものです。ホテル事業者には、「市の基幹産業である観光・農業などの活性化につながること」「市と連携して健康増進プログラムを継続的に提供すること」などを条件とし、支援を行うものです。

この支援にかかる補助金の財源は、飯山市のまちづくりのためにと、全国からご寄付いただいた「ふるさと納税」を原資とした「愛する飯山ふるさと基金」約17億8千万円(令和2年度末現在)の一部を活用する予定です。

ホテル建設にかかる経済波及効果の試算は、建設見込み額の15億円に対して、34億7千万円と見込まれています。また、ホテル利用者が宿泊と健康増進施設および周辺店舗等を利用することによる経済波及効果は、年間7億4千万円と見込まれています。

 

 経済波及効果について

 

  1.経済波及効果とは

   ある産業に新たな需要が生じたとき行われる生産は、需要が生じた産業だけでなく、原材料等の取引を通じて関連する他

   の産業にも波及します。 また、これらの生産活動の結果生じる雇用者所得は、消費支出として新たな需要を生み出し、さら

   に生産を誘発していきます。これが「経済波及効果」です。

  2. 産業連関表とは

   産業連関表は、作成対象年次における国や地域の経済構造を総体的に明らかにするとともに、経済波及効果分析や各種

   経済指標の基準改定を行うための基礎資料を提供することを目的に作成しており、一定期間(通常 1 年間)において、財・

   サービスが各産業部門間でどのように生産、販売されたかについて、行列(マトリックス)の形で一覧表にとりまとめたもの

   です。

   ある1つの産業部門は、他の産業部門から原材料や燃料などを購入し、これを加工して別の財・サービスを生産し、さらにそ

   れを別の産業部門に対して販売します。購入した産業部門は、それらを原材料等として、また、別の財・サービスを生産しま

   す。

   このような財・サービスの「購入→生産→販売」という連鎖的なつながりを表したものが産業連関表です。

   産業連関表の仕組みを利用して、ある産業に新たな需要が発生した場合にどういう形で生産が波及していくのか(経済波

   及効果)を計算することができます。(「平成27年(2015年)長野県産業関連表の概要」より引用)

  3. 経済波及効果の試算

   ※ 以下の経済波及効果の数値は「平成27年(2015年)長野県産業関連表(令和3年3月 長野県企画振興部情報政

           策課)」を使用し試算したものです。

  ⑴ 宿泊施設等の建設に対する経済波及効果

   ① 新規需要増加額 14.6億円(建設費、設備費等) ※金額は事業者による企画提案書より

   ② 経済波及効果(合計:約34億6,870万円)

     ア 直接効果:約23億770万円

     イ 一次波及効果:約7億600万円

     ウ 二次波及効果:約4億5,500万円

  ⑵ 施設開業後の運営に対する経済波及効果

   ① 新規需要増加額 2億700万円(客室売上(宿泊)、健康増進施設利用、食堂等) ※金額は事業者による企画提

                案書より

   ② 経済波及効果(合計:約4億5,200万円)

     ア 直接効果:約2億9,900万円

     イ 一次波及効果:約1億300万円

     ウ 二次波及効果:約5,000万円

  ⑶ 宿泊客による周辺での飲食、観光等における経済波及効果

   ① 新規需要増加額 1億4,224万円(宿泊客の飲食・土産品等の消費予想額) ※金額は事業者による企画提案書

                 等より

   ② 経済波及効果(合計:約2億9,400万円)

     ア 直接効果:約1億9,700万円

     イ 一次波及効果:約6,300万円

     ウ 二次波及効果:約3,400万円

 

            

   

 

  〈用語について〉

     ・  直接効果・・・イベントの開催経費や建物の建設費など、新たに発生する消費や投資など最終需要(新規需要増加額)に

         よって生じる生産額の増加分になります。

  ・ 一次波及効果・・・直接効果によって生産が増加する産業では、生産のため新たに原材料等(財やサービス)が必要となり

                                   ます。この新たに必要となる原材料等の需要に対応するため、各産業は新たな生産活動を行います。

                        その新たな生産活動によって、さらに新たな需要が発生して次々と生産活動が誘発されていきます。 こ

                                   のような効果を計算したものが「一次波及効果」です。

  ・ 二次波及効果・・・二次波及効果とは、一次波及効果までの過程で生まれた所得(付加価値)の一部が、消費等によること

            で生じる新たな需要とそれに伴う生産波及効果のことをいいます。

この経済波及効果を生み出すため、民間のノウハウを効果的に活用した公民連携手法による取り組みを推進します。

 

ホテル建設への支援

飯山市が駅前ホテルに求める機能は、飯山市や周辺地域などを訪れる観光客やビジネス需要に対応した宿泊施設で、今回提案されたものは、その機能に沿ったものとなっています。ホテルの開業による観光客等の増加により、観光振興や地域振興等の促進に寄与し、市が行う観光施策等について、連携が図ることができるこのホテル建設の費用に対し、3億円を上限とした支援を行う方針です。

 

健康増進施設整備への支援

飯山市では、人口が減少しているにも関わらず、要支援、要介護の認定者数は増加傾向にあります。介護認定率は、令和2年の県平均が17・2%に対し、飯山市は19・1%と高くなっています。健康寿命も県と比べて、男女ともに短くなっており、健康寿命を延ばすことが、飯山市の大きな課題となっています。

こうしたことから、「飯山市第5次基本計画 後期基本計画」「飯山市健康増進計画(第2次)」では、1年間を通じて運動が継続できる施設整備を目標に掲げてきました。

しかし、市独自での建設は、費用面や運営に関するノウハウの点から難しく、実現されていませんでした。今回提案のあった駅前ホテル内に併設される健康増進施設について、民間の力を利用し、市民の皆さまの健康増進を図ることを目的に、その整備費用に対し、2億円を上限とした支援を行う方針です。

債務負担行為の設定

「ホテルの建設費」および「健康増進施設の整備費」への補助の実施について、飯山市議会9月定例会において「宿泊施設に上限3億円」、「健康増進施設に上限2億円」の「債務負担行為の設定」にかかる議案を可決いただきました。これは、今回の整備事業が適正に実施された場合に、令和6年度までに補助(支出)することができる金額の上限額を定めたものです。

補助金の交付に際しては、各年度において、予算案に対し、市議会の議決が必要です。また、支出にあたっては、事業の目的に沿っているかなどの審査を行い、補助金交付後に、事業の停止や補助金の受給に対して不正等があった場合は、返還させることとなっています。

 

ふるさと融資による支援

これら宿泊施設および健康増進施設の建設費用に対する補助金のほか、市では「ふるさと融資制度」を利用した支援を行う方針です。

この「ふるさと融資」は、地域総合整備財団(ふるさと財団)を通じて行うもので、地域振興に寄与する民間事業を支援するため、長期の無利子資金を融資する制度で、これまでに飯山赤十字病院や市内企業に活用されてきました。

 

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更新日 2023年12月27日