飯山三十六景 ~流れ星と願い事~ 

 

 流星群が出現するというので、随分前から僕らは天気予報を見ながら、やきもきしたり、わくわくしたりしていた。
 
 いよいよその日がやって来た。澄み切った夜空に期待以上の流星が見える。ここぞ、とばかりにみんなは願い事を唱えるのだが、やはり消えない間に三度唱えるのは難しい。
 
 しばらくすると、しきりに魚が跳ねるのに僕は気付いた。しかも流星が現れるのに合わせてジャンプしている。

 
 「オーイ、なんで流星に合わせてジャンプするの?」と聞くと、「流れ星を食べるんだ。流れ星を食べると願い事がかなうんだ」魚は答えた。 
 「今までに願いがかなった魚はいるの?」
 「ああいるよ、そいつは本物の星になったんだ、神様に魚座って星座にしてもらったんだ、伝説だけどね」
 「君の願いは何?」
 「天の川を泳ぐことさ。君たちはそんなふうに思ったことないの?それにしても流れ星ってやつは思ったより高い所を飛んでるなあ、もっとジャンプ力をつけなくちゃ」

 
 そう言うと魚は水中に消えた。
 天の川を魚が泳ぐ
 星のくずでお腹を満たし
 ジャンプするなら七色の
 星のしずくが飛び跳ねる
 星の魚文が宇宙に広がる

     

写生ポイント(矢印を方向を見て描かれたものです。)
更新日 2011年07月20日