飯山三十六景 ~つらら~

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青空が広がった冬の日のこと。モミの木に下がるつららが木琴のように見えたので、糸でつるしてみんなで演奏した。
まず「かえるの合唱」を合奏すると、冬眠していたカエルが眠そうな顔を出し「まだ冬だぜ」と言ってまた落葉の中にもぐった。
次に「チューリップ」を演奏すると、チューリップの球根がチョコッと顔を出し「ウッ、サブ」と言い、ブルブル体を揺すり土にもぐった。
次に「かたつむり」を演奏すると、目玉の片方だけを、からの隅から出したでんでんむしが「こう寒くちゃ、頭も角も出せやしねえ」とつぶやいて引っ込んだ。
だんだん面白くなった僕らは、次に「おつかいありさん」を演奏すると、アリがザワザワ出て来た。「砂糖が山のようにある、と聞いたが雪じゃないか。だれだ寝ぼけたやつは」そう言うとアリたちは穴へ帰った。
次々と演奏し、最後には熊まで顔を出したのにはみんな驚いた。そして今日出会った生き物を数えながら家に帰った。
つららの音はどこまで響く 雪の下の奥深く、アリの巣穴の寝床まで 小さなアリの大いびき、千のいびきと響きあう
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写生ポイント(矢印を方向を見て描かれたものです。) |