飯山三十六景 ~ばあちゃんの花畑~ 

 

 みんなで村はずれのジャーマンアイリスの花畑へ、ピクニックに来た。二人の仲良しばあちゃんが育てた花たちだ。見ごろになった花を眺めていると、いつか雑草取りに来ていた二人の会話を思い出していた。


「ネギやニンジンさ作るのも励みになるだども、花もええんでねえかい」

「そうださなあ、花もえんでねえかい」

「きれいに咲くんは4、5日だども、花も替えがてえなあ」

「そうさなあ」

「だども野草のこまかい花もかえらしくてええなあ」

「ええなあ、ちと残したらどうだえ」

「スカンポの穂の形も面白えなあ」

「面白えなあ、ちと残しておくってもんかえ」

「ヨモギのギザギザの葉もええなあ」

「草もち用に採ってさ、ちいと残したらどうだい」

「ペンペン草が伸びたさなあ」

「葉っぱの三角がかえらしいや、ちと残してみるさ」

「ワラビが出て、うまそだなあ」

「えらいええおかずが採れたでねえかい」

 

 仲良しばあちゃん

 生まれた村は別の村

 通った学校別の学校

 おんなじ村に嫁いで一緒

 おんなじ空を眺めてる

 おんなじ花を育ててる

     

写生ポイント(矢印を方向を見て描かれたものです。)
更新日 2011年07月20日